【番外編】10年来の友人と結婚する世界線の話①

 

 

昨年こんなことをつぶやいてプチバズりしたものの、残念な結果に終わった話がある。

 

ブログの趣旨からだいぶズレるけれど、どうせもう当初の予定より長く続けてしまったし、書きたいことを書けばいいやと思い至ったので書いてみます。

 

長くなるけど、けっこう面白いはず。

 

偶然にもこの人を既婚者だと白状させるに至った、例の話でもある。

noriko-uwotani.hatenablog.com

 

遡ること大学時代、就活中。

とある企業の採用面接の待合室で、私はその男に出会った。

 

名前はタクヤ(仮)とする。

 

最近の子がどうかはわからないが、当時はグループ面接を一緒に受けた人や、個人面接の待合室が一緒だった人同士で連絡先を交換し合う謎のムーブがあった。

 

といっても、同じ企業を受けたということしか接点がないので、連絡を取り続けるケースはかなり稀である。

 

内定までに6次もの選考がある企業の、4次選考だった。

 

ここまで残れた自負と極度の緊張感を共有したせいだろうか。

個人面接が終わり待合室に移動すると、同じ時間帯の枠で面接を受けていた7人全員で「どうだった?」と大盛り上がりし、全員が全員と連絡先を交換し合った。

 

「3日以内に、合格者だけに電話をします」

 

採用担当者からそう告げられ、私はそれから3日間、鳴らない携帯電話を握りしめて過ごした。

 

数週間後。

 

その企業には落ちたものの、別の企業から内定をもらい、ひと安心していた頃。

タクヤからメールが届いた。

 

<久しぶり。XX(面接を受けた企業)のその後、どうだった?>

 

<4次で落ちちゃった。でも◯◯に内定もらったから入社するよ。タクヤ君は?>

 

<俺もXXダメだった!で、△△(某航空会社)に入るよ>

 

<え、すごいじゃん。いつか一緒に仕事できたらいいね>

 

<そうだね!てかさ、よかったら飲みに行かない?>

 

いや、何でだよ。

 

シンプルにそう思ったくらい、私はタクヤのことが印象に残ってなかったし、当時は普通に彼氏がいた。

 

だから私は逃げた。

 

<あの面接の他のメンバーも集まれたら、ぜひ!>

 

時は流れ、社会人1年目の冬。

 

なかなか仕事に慣れず、3年以上付き合った彼氏とも別れ、冴えない日々を過ごしていると、再びタクヤからメールが届いた。

 

<久しぶり!覚えてる?>

 

<△△(某航空会社)の子だよね?久しぶり!>

 

<そうそう!よかったら、飲みに行かない?>

 

もう彼氏もいないし、断る理由もないか。

 

行こうかなと気持ちが傾いたが、生憎、私はタクヤの顔を覚えてなかった。

待ち合わせたところで、彼に気付けない。

 

<ぜひ!でも私、タクヤ君の顔あんま覚えてないかもしれない>

 

正直に言う私もだいぶヤバいが、彼は寛容だった。

 

<俺が覚えてるから大丈夫!>

 

そうして社会人1年目の私たちは、再会を果たすことになったのだった。

 

二人の関係がこの先10年も続くなんて、当時の私も彼も、きっと想像してなかったはずだ。

 

続く。