2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧

10年来の友人と結婚する世界線の話⑧

私には前日の夜から、迷っていたことがあった。 「彼氏いるの?」と聞かれたら、何て答えよう。 いる、と答えたくない。 タクヤへの気持ちが、完璧に消えたわけではないからだ。 でもだからといって、嘘は吐けない。 もういいや、その時の気分で決めよう。 …

10年来の友人と結婚する世界線の話⑦

海外訓練は2年と聞いていた。 時差があるうえ、現地では寮生活ということもあり連絡はぱったり途絶えたが、半年に一回くらいのペースで「久しぶり。元気にしてる?」的なLINEが届き、たまに短い電話もした。 私はそのたびに「忘れてほしくないんだな、ふふ…

10年来の友人と結婚する世界線の話⑥

何もかも、異動のせいだ。 私は人事部を心の底から憎んだが、もう大阪に来てしまったからしょうがない。 楽しむ努力をしよう。 そして私は気持ちを切り替え、4月の終わりにはネットで見つけた謎のオフ会に顔を出していた。 ※当時、まだマッチングアプリをや…

10年来の友人と結婚する世界線の話⑤

内定式の時だったろうか。 たしか人事部長は、内定者全員に向かってこう言っていた。 「大阪にも編集部はあるが、規模が小さいし、関西出身者が異動希望を出して行くケースがほとんどだから、君たちが転勤になる可能性は2%くらい」 私はその2%に入ってしま…

10年来の友人と結婚する世界線の話④

「息子がXX大学に入ったって、母親の友達に嘘吐いてたんだよね」 タクヤは自身の学歴に軽いコンプレックスがあった。 本当は私の出身大学に入りたかったと、再会して間もない頃に聞かされてもいた。 息子の学歴を詐称をする母。 やべぇぇぇ… ほんで住所を詐…