メンヘラ京大ニキ②

①はこちら↓

noriko-uwotani.hatenablog.com

 

<今日、海苔子さんに教えてもらった本を電車で読み終わりました。思いがけず泣いてしまいました。人の文章を読んで泣いたのは、人生2度目のことです>

 

私がレオに紹介した本は、名作ではあるが泣くような内容ではなかった。

失恋して間もない彼の心理状態による涙だろうと思ったが、自分が教えた作品がブッ刺さったと言われること自体は、嬉しいものだった。

 

<人生1度目は何だったの?>

 

そうしてTinder上で会話が再開し、奇妙な話だが私たちはもう一度会うことになった。

 

<前回は僕が行きたいところに付き合ってもらったので、今度は海苔子さんが行きたいところに行きましょう>

 

そして具体的な話が進んだが、彼は一向にLINEを聞いてこない。

 

何なんだこいつ???

一生Tinderで連絡取るつもり?

 

しかし私自身、「Tinderで会って連絡先を交換しなかった人と、Tinderで連絡をとり続けて再会する」という前代未聞の状況を、どこか面白がっていた。

 

ちょうど、一人では入りづらい系の行きたい居酒屋があったので打診すると、彼は快諾した。

 

<よさそうですね。そこにしましょう!>

 

<ありがとう。私が予約しとくね。何時にする?>

 

しかし、このメッセージを送った直後。

彼は突然消えた。

 

え?

何で…???

操作ミスった???

それともサイコパス???

 

とんとん拍子に話が進んでいたので心底驚き、自分からLINEを聞いておけばよかったと後悔したが、こうなってしまったらもう仕方ない。

 

私はモヤモヤしながら、レオのことを忘れようとした。

 

それから数日経ち、私はふと気づいた。

 

その時マッチしていた他の誰からも、メッセージがこない。

新しくスワイプしてみるも、同じ人しか出てこない。

試しに全ての人をLIKEしてみるものの、誰ともマッチしない。

 

これは…かの有名な…

シャドーバンというやつか!!!

 

Tinderを使い始めてX年、私は一度もシャドーバンやアカウント凍結を経験したことがなかった。

 

原因は不明。

 

生活の一部が切り取られたような喪失感を味わい、レオと連絡が取れなくなったことに加え、自分がいかにTinder中毒であったかに気づいてショックを受けた。

 

そしてシャドーバンの解決策を鬼検索したところ、「ヘルプセンターに問い合わせてひたすら放置」しかなさそうだと分かった。

 

まぁ、仕方ない。

 

私はヘルプセンターに連絡した後、デトックス期間を設けることにした。

 

1週間ほど経った頃。

 

スマホに突然、<◯◯さんからメッセージが届いています>という懐かしいポップアップが現れた。

 

レオではなく、マッチして連絡をとり続けていた別の人だった。

その人によると、どうやらシャドーバンされた私は一時的に画面から消えていたが、突然「新しいマッチ」として再登場したらしい。

 

しかし、過去のメッセージ欄やマッチしてる人のリストを見直すも、レオはいなかった。

 

彼がアカウントを作り直して再び私を見つけ出すか、私がアカウントを作り直して彼を探すか。

再び連絡を取るには、そのどちらかしか方法はない。

 

まぁ無理だろう。

お互いそこまでの情熱はないだろう。

 

そう思いながら惰性で3回ほどスワイプすると、レオが私にSUPER LIKEを送ってくれていたようで、すぐに現れてマッチした。

 

<ずっと探してました。海苔子さんが急にいなくなってしまったので、アカウントを作り直して、日本中の3X歳の女性を見尽くしました笑>

 

え、そこまでしたの…?

 

<なんかシャドーバンされてたっぽい。ごめんね>

 

<海苔子さんがいない間に文章を書いたので、校正してくれませんか?>

 

URLが続いていた。

 

少し、嫌な予感がした。

 

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