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<今日、海苔子さんに教えてもらった本を電車で読み終わりました。思いがけず泣いてしまいました。人の文章を読んで泣いたのは、人生2度目のことです>
私がレオに紹介した本は、名作ではあるが泣くような内容ではなかった。
失恋して間もない彼の心理状態による涙だろうと思ったが、自分が教えた作品がブッ刺さったと言われること自体は、嬉しいものだった。
<人生1度目は何だったの?>
そうしてTinder上で会話が再開し、奇妙な話だが私たちはもう一度会うことになった。
<前回は僕が行きたいところに付き合ってもらったので、今度は海苔子さんが行きたいところに行きましょう>
そして具体的な話が進んだが、彼は一向にLINEを聞いてこない。
何なんだこいつ???
一生Tinderで連絡取るつもり?
しかし私自身、「Tinderで会って連絡先を交換しなかった人と、Tinderで連絡をとり続けて再会する」という前代未聞の状況を、どこか面白がっていた。
ちょうど、一人では入りづらい系の行きたい居酒屋があったので打診すると、彼は快諾した。
<よさそうですね。そこにしましょう!>
<ありがとう。私が予約しとくね。何時にする?>
しかし、このメッセージを送った直後。
彼は突然消えた。
え?
何で…???
操作ミスった???
それともサイコパス???
とんとん拍子に話が進んでいたので心底驚き、自分からLINEを聞いておけばよかったと後悔したが、こうなってしまったらもう仕方ない。
私はモヤモヤしながら、レオのことを忘れようとした。
それから数日経ち、私はふと気づいた。
その時マッチしていた他の誰からも、メッセージがこない。
新しくスワイプしてみるも、同じ人しか出てこない。
試しに全ての人をLIKEしてみるものの、誰ともマッチしない。
これは…かの有名な…
シャドーバンというやつか!!!
Tinderを使い始めてX年、私は一度もシャドーバンやアカウント凍結を経験したことがなかった。
原因は不明。
生活の一部が切り取られたような喪失感を味わい、レオと連絡が取れなくなったことに加え、自分がいかにTinder中毒であったかに気づいてショックを受けた。
そしてシャドーバンの解決策を鬼検索したところ、「ヘルプセンターに問い合わせてひたすら放置」しかなさそうだと分かった。
まぁ、仕方ない。
私はヘルプセンターに連絡した後、デトックス期間を設けることにした。
1週間ほど経った頃。
スマホに突然、<◯◯さんからメッセージが届いています>という懐かしいポップアップが現れた。
レオではなく、マッチして連絡をとり続けていた別の人だった。
その人によると、どうやらシャドーバンされた私は一時的に画面から消えていたが、突然「新しいマッチ」として再登場したらしい。
しかし、過去のメッセージ欄やマッチしてる人のリストを見直すも、レオはいなかった。
彼がアカウントを作り直して再び私を見つけ出すか、私がアカウントを作り直して彼を探すか。
再び連絡を取るには、そのどちらかしか方法はない。
まぁ無理だろう。
お互いそこまでの情熱はないだろう。
そう思いながら惰性で3回ほどスワイプすると、レオが私にSUPER LIKEを送ってくれていたようで、すぐに現れてマッチした。
<ずっと探してました。海苔子さんが急にいなくなってしまったので、アカウントを作り直して、日本中の3X歳の女性を見尽くしました笑>
え、そこまでしたの…?
<なんかシャドーバンされてたっぽい。ごめんね>
<海苔子さんがいない間に文章を書いたので、校正してくれませんか?>
URLが続いていた。
少し、嫌な予感がした。
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