Coffee Meets Bagel(コーヒーミーツベーグル)という、アメリカのマッチングアプリがある。
日本語版がないので、そこそこ英語ができないと使えないものの、
・Tinderより真剣
・外国人ユーザーが多いが、ハイスペも多い
と友人に勧められ、使ってみることにした。
そう、いつかのアンダーアーマー事件が発生したあの日のことだ。
あの日アンダーアーマーがすぐ表示されたように、Coffee Meets Bagel(以下CMB)を使っている人はかなりの確率でTinderを併用している。
私は顔を出さず偽名でTinderを使っているが、ユーザーの少ないCMBで知り合いに見つかることはないだろうと思い、こちらは顔も経歴も丸出しで登録した。
これは、かつてTinderでマッチしていた人と、CMBを介して出会った話。
遡ること半年前。
Tinderにて。
京大卒、総合商社勤務、32歳、身長180センチ、名前は岩田(仮)。
かつての3Kを兼ね備え、顔も悪くない男とマッチした。
<丸の内で飲みませんか?>
岩田から届いた一通目のメッセージはこれだった。
一通目で飲みましょうと送ってくる男はもれなく微妙なので普段は無視するが、いかんせん岩田はスペックがよすぎた。
<喫茶店なら>
<えぇ…何で飲みはダメなんですか?>
<初対面で2時間拘束されるのつらい>
<つまらなかったらすぐ帰ってもいいですよ!俺は飲みじゃないと無理です>
ヤリモクか、ただの酒好きか。
どっちにしろ微妙そう。
そう思いながらもしばらくやり取りを続け、会うだけ会ってみようかと気持ちが傾いた頃。
追加でメッセージがきた。
<よければLINEでやり取りしません?>
会う前にLINE交換したがる奴。
これもだいたい微妙だが、私は承諾した。
<わかった。ID教えて>
やむを得ず事前にLINEを交換する場合、私は必ず相手にIDを聞くようにしている。
LINEの名前がイニシャルだけとか怪しければその瞬間に切るし、フルネームがわかれば、友達に追加する前にFacebookで素性を調べられるからだ。
しかし私はこの時、未だかつてない理由で岩田を切った。
<ありがとうございます!IDこちらです>
送られてきた岩田のLINE IDを三度見した。
<sexy_dynamite…>※仮
ここに書けないのがもどかしいが、例えるならこういう、普通の感覚の持ち主は選ばないであろうエロ単語だった。
<IDがキモいよ>
<え、変ですかね?!>
駄目だこいつ、ズレてる。
私は岩田のLINEを追加することなく、マッチを解除した。
時は流れ、CMBを始めた私。
こちらにもすぐ岩田が現れ、試しにマッチするとメッセージが届いた。
<よければお会いしませんか?>
Tinderの私とCMBの私はほぼ別人なので、同一人物であることに彼は気づいてないはずだった。
一文目のそれ。
お前、相変わらずだな。
私はTinderと全く同じ返信をした。
<喫茶店なら>
<了解です!来週末はどうでしょう?>
いいのかよ。
飲みしか無理なんじゃなかったのかよ。
アプリによって明確にスタンスを変える岩田に不信感を抱きつつも、私は喫茶店で彼に会うことにした。
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