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恐る恐るURLをタップすると、長文が目に飛び込んできた。
私と出会うまでに感じていた印象と、会った時のギャップ。
喫茶店で話したこと、食べたもの。
その後にチャットで話したこと。
急に消えてしまって絶望したこと。
必死で探したこと。
あなたのことが忘れられません云々。
それは3千字くらいの、限りなくラブレターに近いエッセイだった。
怖い。
真っ先に感じたのは恐怖だった。
100歩譲って例えばこれが、喫茶店でお互い好感触を得てLINEを交換し、その後も連絡をとり続けていた矢先の出来事なら、キモいとは思うがギリ理解できる。
でも、違う。
あの日のレオは、こんな長文を書くほど私に好感をもってなかったはずだ。
おそらくこのロマンチスト·メンヘラニキは、私が紹介した本の作者への敬意を私へのそれと履き違え、同時に「急に連絡が取れなくなった」という悲劇の物語を愉しんでいるだけではなかろうか…?
何なんだ、こいつ???
私は完全に引いていたが、もう次に会う店も日付も決まっている。
<読んだよ。ちょっとびっくりした。とりあえずXX(居酒屋)行こうか。何時にする?>
そう返信し、さすがに教えとくよと言ってLINEのIDを添付した。
そして翌週、私が行きたかった居酒屋で再会を果たした。
「もう会えないと思って書いた文章だったので、いざ会えるとなると恥ずかしいです」
レオは開口一番そう言った。
本人を前にすると、それまで感じていた恐怖が薄れた。
彼のLINEの名前がTinderの登録名と同じ「レオ(仮)」だったので、私は真っ先にそれについてふれた。
「レオって本名なんだね。かっこいい名前だね」
「あ、いや、偽名です。本名は◯◯っていいます」
「LINEが偽名なの?どういうこと?」
「えっと…実は女性用風俗で働いていたことがあって、その時の源氏名です」
「!?!?!?」
「前に付き合ってた人を喜ばせたくて、スキルアップのために始めて。すぐ辞めちゃったので、もう昔のことなんですけど」
えっと…何からツッコめばいい?
私は頭をフル回転させた。
「それはさ、彼女に『副業で風俗やろうと思うんだけど』って相談してから始めたの?で、やれば?って言われたの?」
「はい。前にも言ったと思うんですけど、その人とはハプニングバーで知り合ったんですよ」
「バーで知り合った」って、そっちのバーかよ!!!!!
すっかり混乱し始めていたが、これがまだ序の口であることを、その時の私は知る由もなかった。
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