前編はこちら↓
連れていかれたのは、デシベルが東京おでんラブストーリーの10分の1程度しかない静かな和食居酒屋だった。
向かい合って座り、あらためて二人の顔を見る。
年齢は30代後半といったところだろうか。
顔立ちは、片方は小室圭、もう片方はよく言えば要潤に似ていた。
乾杯を済ませると、私はさっそく尋ねた。
「どういうお仕事されてるんですか?」
小室「製薬会社の営業です。俺が先輩で、こっち(要)が後輩」
彼らは全国転勤のあるMRだった。
現在は二人とも都内にいるが担当エリアは別で、今日は研修があり久々に再会したという。
年齢を尋ねると、小室が39、要が36。
二人とも独身だった。
それから仕事や趣味などいろんな話をしたが、さすがはMR。
日頃の営業で鍛えられているのだろう。
会話の引き出しが多く、テンポが良い。
見た目も清潔感があり、顔も悪くない。
私は彼らを観察しながらずっと考えていた。
何で独身なの…???
同じことを考えていたのか、横に座っていた友人が突然ぶっ込んだ。
「マッチングアプリとかってやったことあります?」
要「え、全然ない。小室さんは?」
小室「俺もない。なんか美人局に遭いそうで怖くない?二人はやってるの?」
私「そうですね、何人か(※)会ったことあります」
※何人か=70人以上
要「変な人いなかった?」
私「あー、たまに(※)いましたね。でも真面目な人もけっこういましたよ」
※たまに=8割以上
友人「じゃあ新しい出会いと言えば、こうしてコリドーで声かける感じですか?」
小室「いや、今日は本当に久しぶり。コロナ前はJIS(※)に何回か行ったよね?」
※JIS=相席ラウンジ。相席屋よりやや高級
要「あ、新宿の。懐かしい。あそこにも変な女性がいましたね笑」
友人「変な女性って?」
この友人、私と同じくらい好奇心旺盛で取材精神に満ちているのである。
悲しいかな。類は友を呼ぶ。
小室「映えばかり気にする方でさ…」
彼らはJISで女性二人組と仲良くなり、後日あらためて4人で飲みに行く流れになった。
片方の女性が「ここに行きたい」と指定してきたのが、高級な鉄板料理屋。
小室が予約して4人で行くと、その女性たちに「女2人で来ました風」の写真を撮らされ、角度がイマイチだと何度もやり直しを命じられ、店員に注意されるまで延々続けていたという。
私「何歳くらいの人でした?」
要「36歳だった」
驚愕である。女子大生か20代前半ならギリあり得そうだが。
小室「一応こっちが全額出したんだけど、後から俺らそれぞれにLINEがきてさ」
要「そう!それぞれに『今度は別の人連れてきてください』って送られてきた笑」
私たちはそうして2時間ほど飲み、なんとなくLINEを交換して解散した。
後日、私は2人から別々に、また飲みませんかとお誘いをいただいた。
<行きましょう!今度は別の人連れてきてください★>
そう返信したくてたまらなかったが、きっとこの小ボケは通じないだろうと思い無難に返した。
先日、このブログを読んでくれている知人に言われた。
「本当は幸せになりたいなんて思ってないでしょ?」
違う。
それは絶対に違う。
ただ幸せの定義が、日に日にズレてきている気はする。