セックス依存症のイケメン③
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翌週。
私は浅草に降り立った。
彼女あり、セックス依存症、多分メンヘラ。
どう考えてもヤバそうな仁に会おうと思ったのは、一人で行く勇気が出なかったストリップ劇場に行ける、またとないチャンスだったことが半分。
もう半分は、実物の仁の顔が見てみたいという好奇心だった。
浅草ロック座は1947年に創立された、現存するストリップ劇場の最大手にして最古参。
この舞台を目指して全国で切磋琢磨する踊り子たちもいるという。
公演時間は1時間40分で、1日4公演。
私たちは平日の仕事終わりに、20時半から始まる最終公演を観に行くことになった。
<私は公演前にXXX(浅草の喫茶店)に寄るから、よかったらおいで>
<話したいから行く!>
そして、浅草の古い喫茶店で待ち合わせた。
白Tと黒スラックスのシンプルな服装で現れた彼は、本当に赤西仁みたいな綺麗な顔をしていて、背が高かった。
私は目の前に座る男の、親も恋人も友達も知らない秘密を知っている。
完全に知りすぎている。
どう接すればいいのだろう。
未だかつてない状況に、緊張が走った。
「海苔子さんって、会社どこですか?」
思いのほか、普通の初回アポの感じで話してきた仁。
私は本音をそのまま口にした。
「いま、どこまで個人情報を開示しようか迷ってる」
「え!あんなに喋ったのに?まだ俺のことヤバい人だと思ってる!?」
「うん」
むしろ「あんなに喋ったから」なのだが。
仁は少し笑って、自身の名前の漢字フルネームと会社名を教えてくれた。
私は警戒心を少し解き、それなりの個人情報を明かした。
それからの会話は、この後ストリップを観に行く人たちとは到底思えない超普通の内容だった。
小1時間話して店を出て、ロック座へ向かう道中。
仁は私の手を握ってきた。
「あの、これデートじゃないから」
拒否すると、彼は言った。
「え、寂しいじゃん!お願い。手繋ぐだけ」
その後も彼は、何度もしつこく手を握ろうとしてきた。
ただそれはヤリモクのモーションとは微妙に違い、幼い子供が母親に求めるような感じに近かった。
私は思った。
こいつ、メンヘラが過ぎる。
ロック座に着き、チケット代を払って中に入る。
舞台上には大きなミラーボールがぶら下がっていて、ステージから客席の真ん中まで花道がのびていた。
130席ほどの客席は、既に8割がた埋まっている。
「ここはガチファンの人が座るエリア。常連のお客さんがここからテープを投げる名人芸が見られるよ。初心者はこの辺がいいかなー」
仁が案内してくれた席は、花道のサイドの通路側だった。
開演まで時間があったので、私は仁と喋りながら他のお客さんを観察した。
客層はほぼおじさんだが、女性も数名いる。
一番前のガチファンエリアに、一人で来ている金髪の女性がいて目立っていた。
公演はいくつかのパートに分かれていて、まずは普通の衣装を着て踊り、その後いったん舞台の奥にはけてセクシーな衣装に着替え、花道の先頭まで来てザ・ストリップなポージングを見せる繰り返しだった。
ソロで踊るストリッパーたちは若く、顔がすごく可愛かった。
ストーリーはあってないようなものだったが、衣装やメイクが清楚系、ギャル系、ボーイッシュ系、踊りもアイドルみたいなものから宙吊りになるアクロバットなものまでバリエーションに富み、飽きさせない構成になっていた。
意外だったのはストリッパーたちが必ずしも巨乳ではないことと、巨乳であっても、なぜかあまりエロを感じないことだ。
おそらく、あまりにも堂々としているのに加え、「普通は足プルプルなるよな?」というポーズで美しく静止して見せるプロフェッショナルぶりに感心してしまうからだ。
彼女たちは、何がどうなってここに辿り着いたのだろうか。
あとどのくらい、踊り続けるのだろう。
引退した後は、どこで何をして生きていくのだろう。
そんなことを考えていると、若さを削って踊る刹那的な美しさに、私はちょっと泣きそうになった。
ショーが終わりロック座を出ると、私は仁に感謝を伝えた。
「想像以上に素晴らしかった。一人じゃ絶対これなかったよ。ありがとう」
「ね、すごかったでしょ?」
時計を見ると、夜の10時半だった。
仁ともう少し話したいと思った私は「まだ時間あるなら、軽く飲まない?」と誘った。
すると彼は、思いもよらない提案をしてきた。
「○○に露出系カップルが集まるホテルがあるんだけど、そこに行かない?」
「…は?」
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