香港で出会ったハイスペックこどおじの話②

メッセージの送り主のアイコンをタップすると、私と同じように飯の写真だけをアップしているアカウントが現れた。

アイコンの写真が遠目の本人で、遠目すぎて顔はよく分からないが、どうやら中国人男性のようだ。

 

アップされている写真は、なぜか東京の店が多い。

よく東京に来る中国人だろうか?

 

いつからか分からないが、私はその人にフォローされていた。

 

マッチングアプリをやりすぎて、写真やテキストを見ればかなりの確率でその人の人柄を予想できる変な特技を身につけた私は、直観した。

 

多分、この人は大丈夫。

 

とはいえ情報がなさすぎる。

私のアカウントと同様、名前も年齢も職業も国籍も、何ひとつ書いてなかった。

 

私<Where do you live?>

 

彼<I live in HongKong.>

 

それから私は、同行者の友人が病気になり、急遽ひとりで香港旅行に行くことになってしまったことを伝えた。

 

<明日の◯時(昼間)に香港国際空港に着きます。まずは九龍公園の近くのホテルに、荷物を置きに向かいます。もしあなたが空いていればコーヒーでもいかが?それか、その辺りの素敵なカフェを知っていたら教えてほしい>

 

気づけばもう夜中だったので、そんな内容を送りつけた後、すぐに眠った。

翌朝の成田空港でDMを開くと、

 

<え、今日じゃん!>みたいな返信が来ていた。

 

そして、到着日は日曜だったため、彼は予定が空いているとのことだった。

 

<すごくいいエリアに泊まるんですね。周りには素敵なカフェがたくさんありますよ。あなたの泊まるホテルまで迎えに行きましょうか?>

 

ホテルというキーワードに「大丈夫か?」と若干不安になったが、まあ昼間だし、わりといいホテルだったのでセキュリティも万全だろうと信じて、Yes, please.と返信した。

 

なんかすごい展開になった。

 

飛行機は定刻通りに飛び、香港空港に降り立つとすぐにeSIMを起動し、DMを開いた。

 

<いま空港に着きました!>

 

<ようこそ香港へ。私のことはトニーと呼んでください>

 

それからトニーは、空港からホテルまでの行き方や注意事項について、それはそれは丁寧に教えてくれた。

 

いい人すぎんか?逆に大丈夫か?

日中関係がこんなことになっているというのに…?

 

空港からホテルまではバスに乗る予定だったが、空港が広すぎてバス停の場所が分からず迷ってしまい、空港内のコンビニからたまたま出てきた40代くらいの女性に英語で話しかけた。

 

空港で働いているという香港人の彼女は、私に道順を教えるだけではなく、まあまあ遠いバス停まで一緒に歩いて連れて行ってくれた。

 

いい人すぎんか?なんか香港、大丈夫そう…?

 

外に出ると暑かった。

現在の気温は26度だと、先ほど機内のアナウンスで聞いた。

それからバスに乗り、1時間ほどでホテルに着いた。

 

チェックインしてちょっと休憩するか、と思った矢先、トニーから連絡が入った。

 

<いまロビーに着きました。でも、好きなタイミングで来てくれたら大丈夫ですよ>

 

疲れていたので正直もう少し休憩したかったが、しかし私は真面目なジャパニーズ。

人を待たせて平然としてはいられない。

 

<すぐ降ります!何を着てますか?>

 

<青いポロシャツです。夜は冷えるので、上着をお忘れなく>

 

私は最低限の荷物と上着を抱えて、ロビーに向かった。

 

続く。