Timeleftで知らない人たちとディナーに行った話

Instagramの広告は「あなたこれ欲しいんでしょ?」と言わんばかりに、衣類や化粧品や整形やAI英会話レッスンやマッチングアプリや相席居酒屋や卵子凍結やマンション購入や、挙げ句の果てにはソロウェディング写真などを勧めてくる。(ソロウェディングって何だよ。ふざけるな)

 

はいはい、うぜーうぜーと思いながらもたまに可愛い服を見つけてその場で買ってしまうので、うまくマーケティングできているのだろう。

 

ある日、興味深い広告が流れてきた。

 

名前はTimeleft。

フランス発のマッチングサービスで、コンセプトは「毎週水曜日、知らない人たち5人でディナーに行く」というもの。

マッチングはAIによって行われるため、価値観の近い人たちが集められるらしい。

 

おぉ、なんだか面白そうだ。

しかも東京は3エリア設定があり、私の職場からアクセスのいい街が含まれていた。

開始時間は20時らしいから、仕事終わりでも大丈夫そうだ。

 

口コミを見ようと検索してみたが、日本に上陸して間もないそのサービスはまだ利用者が少ないようで、数件しか見つけられなかった。

私はとりあえず登録を済ませ、価値観を決定づけるのであろういくつかの質問に答えたあと、1回分の参加チケット(約1500円)を購入してとある水曜日に参加エントリーをした。

 

参加メンバーは前日の夜、店の情報は当日の朝に送られてくるとのことだった。

 

ところが前日の夜。

参加メンバーが開示されるはずの時間にアプリを開くも、何も表示されてない。

 

適当すぎるだろ!と思いながら時間を空けてアクセスすると、ちゃんと表示されていた。

 

 

情報すっくねぇー!

性別も年齢も分からない。

とはいえ、いろんな業界の人がいてちょっと面白そうだ。

 

ワクワクしながら眠り、当日の朝。

 

店情報が開示されるはずの時間にアプリを開くも、何も表示されてなかった。

 

適当すぎるだろ。(2回目)

店に合わせて服を選びたいのに。

 

仕方ないのでそのまま出社し、時間を空けて開くと、またも遅れて表示されていた。

 

<タイ料理◯◯、XX店>

 

エスクニック!?!?!?

いくらなんでもトリッキーすぎない!?

パクチー苦手な人けっこういるよ?!

 

呆然としながらも、私はタイ料理好きだからまあいっかと思い、猛スピードで仕事を終わらせて店に向かった。

 

ビルの上の階にあるその店に向かおうと1階でエレベーターを待っていると、チンと音がしてドアが開いた。

 

エレベーターの中で、タイ人のカップルがめちゃくちゃキスをしている。

 

私の視線に気づき、そそくさと出ていくカップル。

どうやら現地人御用達系の店らしい。

 

数分遅れで店に着き、入り口で「Timeleftです」と伝えると、タイ人のスタッフがテーブルに案内してくれた。

 

先客1名。女性。

 

ひとり?!

 

と私がビビるより早く、彼女は「あーよかった。誰も来なかったらどうしようかと思いました」と笑った。

 

おそらく同世代で、なんとなく雰囲気も私に似ている。

この人がいれば大丈夫かもしれないと、少し安心した。

 

二人で「普通は居酒屋とかバルとかですよね。エスニックてw」とツッコみながらメニューを眺めていると、続いて10分遅れで女性が一人、男性が一人やってきた。

 

男性の姿を見た瞬間、私の顔は引き攣った。

 

この人、Tinderで会った。

ブログに書いた。

あいつだ。絶対にあいつだ

 

え、こんなこと、ある?????

 

「あの、以前お会いしたことある気がします」

 

先手を切ってそう言うと、彼もようやく気づいたようで「あ!」というような顔をした。

 

気まずい。

 

大都会TOKYOで、なぜこんな偶然が起きてしまうのだろう。

私は東京中のおもしれー男に会い尽くしてしまったのか?

 

目の前の男と話した内容が、走馬灯のように頭を駆け巡る。

初対面で4~5時間飲んだ相手だった。

性癖の話も哲学の話もした。

1回しか会わなかったけど、何もかも覚えている。

己の記憶力の良さを呪った。

 

最初に到着していた女性が「え、気まずい感じですか?大丈夫ですか?」と間に入ってくれて、非常に助かった。

 

結局その日は4人しか来ず、無難な話を2時間ほどして割り勘で会計を済ませ、解散した。

 

みんなアーリーアダプターゆえに好奇心が強く、外資系アプリに手を出すからにはそこそこ英語ができて、海外に縁がある人ばかりだった。

 

確かに、自分に近い人が集まっている。

きっとまだまだユーザーは少ないだろうけど、それでこの精度はけっこうすごい。

 

アプリには話のネタに困らないようにトークテーマが用意されていて、その通りに話してもいいとのことだったが、

 

 

我々は結局使うことはなかった。

 

4人中2人は過去にも何度か参加したことがあり、全員女性の会もあれば全員男性の会もあったという。

何度か参加したら、面白い出会いがありそうだ。

 

最後にみんなでLINEを交換した際、Tinderで会った子には「私のLINE知ってるよね。ブロックとかしてないから、またね」と言って別れたが、帰って名前を検索しても出てこなかった。

 

記憶がないほどナチュラルに、めっちゃブロックしてた。

 

知人に会わない保証があるならまた参加したいけど、私はもうダメだ。

きっとまた同じようなことが起きる。

 

だから変なエスニック料理屋の思い出として、ここに残しておく。